8. 逆三角関数とその導関数 例題集

$Q1$.
次の値を求めなさい。

(1) $\sin^{-1} \dfrac{1}{2}$
(2) $\cos^{-1} \left(-\dfrac{1}{\sqrt{2}}\right)$
(3) $\tan^{-1} \sqrt{3}$
解答・解説を見る
(1) $\dfrac{\pi}{6}$
(2) $\dfrac{3}{4}\pi$
(3) $\dfrac{\pi}{3}$

(1)
$\sin \theta = \dfrac{1}{2}$ となるのは

$\theta = \dfrac{\pi}{6} \pm 2n\pi,~\dfrac{5}{6}\pi \pm 2n\pi$

の時です。

$-\dfrac{\pi}{2} \leqq \sin^{-1} \dfrac{1}{2} \leqq \dfrac{\pi}{2}$ であるから $\sin^{-1} \dfrac{1}{2} = \dfrac{\pi}{6}$ となります。

(2)
$\cos \theta = -\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ となるのは

$\theta = \dfrac{3}{4}\pi \pm 2n\pi,~\dfrac{5}{4}\pi \pm 2n\pi$

の時です。

$0 \leqq \cos^{-1} \left(-\dfrac{1}{\sqrt{2}} \right)\leqq \pi$ であるから $\cos^{-1} \left(-\dfrac{1}{\sqrt{2}}\right) = \dfrac{3}{4}\pi$ となります。

(3)
$\tan \theta = \sqrt{3}$ となるのは

$\theta = \dfrac{\pi}{3} \pm n\pi$

の時です。

$-\dfrac{\pi}{2} \leqq \tan^{-1} \sqrt{3} \leqq \dfrac{\pi}{2}$ であるから $\tan^{-1} \sqrt{3} = \dfrac{\pi}{3}$ となります。

$Q2$.
次の関数の定義域と値域を求めなさい。

(1) $y = 2\sin^{-1}\left( x - \dfrac{1}{2} \right)$
(2) $y = -\cos^{-1}\left( 2x + 1 \right)$
(3) $y = \dfrac{1}{2} \tan^{-1}\left( \dfrac{1}{2}x +2 \right)$
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(1) 定義域 : $-\dfrac{1}{2} \leqq x \leqq \dfrac{3}{2}$, 値域 : $-\pi \leqq y \leqq \pi$
(2) 定義域 : $-1 \leqq x \leqq 0$, 値域 : $-\pi \leqq y \leqq 0$
(3) 定義域 : 実数全体, 値域 : $-\dfrac{\pi}{4} \leqq y \leqq \dfrac{\pi}{4}$

(1)
$y = \sin^{-1} x$ について, 定義域は

$-1 \leqq x \leqq 1$

であるから $y = 2\sin^{-1}\left( x - \dfrac{1}{2} \right)$ の定義域は

$-1 \leqq x - \dfrac{1}{2} \leqq 1$

より $-\dfrac{1}{2} \leqq x \leqq \dfrac{3}{2}$ となります。また $y = \sin^{-1} x$ の値域は

$-\dfrac{\pi}{2} \leqq \sin^{-1} x \leqq \dfrac{\pi}{2}$

であるので, $y = 2\sin^{-1}\left( x - \dfrac{1}{2} \right)$ の値域は

$-\pi \leqq 2\sin^{-1}\left( x - \dfrac{1}{2} \right) \leqq \pi$

となります。

(2)
$y = \cos^{-1} x$ について, 定義域は

$-1 \leqq x \leqq 1$

であるから $y = -\cos^{-1}\left( 2x + 1 \right)$ の定義域は

$-1 \leqq 2x + 1 \leqq 1$

より $-1 \leqq x \leqq 0$ となります。また $y = \cos^{-1} x$ の値域は

$0 \leqq \cos^{-1} x \leqq \pi$

であるので, $y = -\cos^{-1}\left( 2x + 1\right)$ の値域は

$-\pi \leqq -\cos^{-1}\left( 2x + 1 \right) \leqq 0$

となります。

(3)
$y = \tan^{-1} x$ について, 定義域は実数全体なので $y=\dfrac{1}{2} \tan^{-1}\left( \dfrac{1}{2}x +2 \right)$ の定義域も実数全体になります。

また $y = \tan^{-1} x$ の値域は

$-\dfrac{\pi}{2} \leqq \tan^{-1} x \leqq \dfrac{\pi}{2}$

であるので, $y = \dfrac{1}{2} \tan^{-1}\left( \dfrac{1}{2}x +2 \right)$ の値域は

$-\dfrac{\pi}{4} \leqq \dfrac{1}{2} \tan^{-1}\left( \dfrac{1}{2}x +2 \right) \leqq \dfrac{\pi}{4}$

となります。

$Q3$.
次の関数を微分しなさい。

(1) $f(x) = \sin^{-1} 2x$
(2) $f(x) = \cos^{-1} x^2$
(3) $f(x) = \tan^{-1} (2x+1)$
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(1) $f'(x) = \dfrac{2}{\sqrt{1-4x^2}}$
(2) $f'(x) = -\dfrac{2x}{\sqrt{1-x^4}}$
(3) $f'(x) = \dfrac{1}{2x^2 + 2x + 1}$

(1)
$y = \sin^{-1} x$ の導関数は

$y' = \dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}}$

であるから, 合成関数の微分法より

$f'(x) = \dfrac{(2x)'}{\sqrt{1 - (2x)^2}} = \dfrac{2}{\sqrt{1-4x^2}}$

となります。

(2)
$y = \cos^{-1} x$ の導関数は

$y' = -\dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}}$

であるから, 合成関数の微分法より

$f'(x) = -\dfrac{(x^2)'}{\sqrt{1 - (x^2)^2}} = -\dfrac{2x}{\sqrt{1-x^4}}$

となります。

(3)
$y = \tan^{-1} x$ の導関数は

$y' = \dfrac{1}{1+x^2}$

であるから, 合成関数の微分法より

$f'(x) = \dfrac{(2x+1)'}{1 + (2x+1)^2} = \dfrac{2}{4x^2 +4x + 2} = \dfrac{1}{2x^2 + 2x + 1}$

となります。