命題 例題集

$Q1$.
次の命題の真偽を判定しなさい。

(1) 三角形の内角の和は $360^{\circ}$ である。
(2) $91$ は素数である。
(3) $-4$ は有理数である。
(2) 任意の自然数 $n$ に対し, $n$ が $6$ の倍数ならば $n^3$ は $24$ の倍数である。
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(1)
(2)
(3)
(4)

命題が正しいときに真である, 間違っている時に偽であるといいます。

(1)
三角形の内角の和は $180^{\circ}$ なので, この命題は偽です。

(2)
$91 = 7 \cdot 13$ なので $91$ は素数ではありません。よってこの命題は偽です。

(3)
整数 $m,n$ を用いて $\dfrac{n}{m}$ と表せる数を有理数といいます。

$-4 = \dfrac{-4}{1}$ と表せるので $-4$ は有理数です。よってこの命題は真です。

(4)
$n$ が $6$ の倍数である時, 自然数 $k$ を用いて $n=6k$ と表せます。この時

$n^3 = (6k)^3=216k^3 = 24\cdot 9k^3$

より $n^3$ は $24$ の倍数になります。よってこの命題は真です。

$Q2$.
条件 $P$ と $Q$ を次のように定める時, $P$ は $Q$ の必要条件, 十分条件, 必要十分条件, 必要条件でも十分条件でもない, のいずれになるか答えなさい。

(1)
$P: x=1$
$Q: x^2+2x-3=0$
(2)
$P: x^2+3x-10=0$
$Q: x=2$
(3)
$P: x$ は素数である
$Q: x+1$ は偶数である。
(4)
$P: x=0$ かつ $y=0$
$Q: x$, $y$ は実数かつ $x^2+y^2=0$
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(1) 十分条件
(2) 必要条件
(3) 必要条件でも十分条件でもない
(4) 必要十分条件

(1)
$x=1$ の時

$1^2 + 2\cdot 1 -3 =1+2-3= 0$

よって $P \rightarrow Q$ は真となります。一方 $x=-3$ とすると

$(-3)^2 + 2\cdot (-3) -3 =9 - 6-3= 0$

となりますが, $-3 \not=1$ なので $Q\rightarrow P$ は偽となります。

以上から $P$ は $Q$ の十分条件になります。

(2)
$x=-5$ とすると

$(-5)^2 + 3\cdot (-5) -10 = 25-15-10=0$

となりますが, $-5\not=2$ なので $P\rightarrow Q$ は偽となります。一方 $x=2$ の時

$2^2 + 3\cdot 2 -10 = 4 + 6-10=0$

より $Q \rightarrow P$ は真となります。

以上から $P$ は $Q$ の必要条件になります。

(3)
$x=2$ とすると, $2$ は素数ですが, $2+1=3$ は偶数ではありません。

よって $P \rightarrow Q$ は偽となります。

一方 $x=9$ とすると, $9+1=10$ は偶数ですが, $9 = 3\cdot 3$ なので $9$ は素数ではありません。

よって $Q \rightarrow P$ も偽となります。

以上から, $P$ は $Q$ の必要条件でも十分条件でもありません。

(4)
$x$ が実数ならば $x^2 \geqq 0$ であり, 特に $x^2=0$ ならば $x=0$ が成り立ちます。

$x=y=0$ の時, $x^2+y^2=0+0=0$ より $P \rightarrow Q$ は真になります。

また $x^2 + y^2=0$ の時, 不等号の性質から

$0 \leqq x^2 \leqq x^2 + y^2=0$

よって $x^2=0$ となり, 最初に述べたことから $x=0$ となります。

$y=0$ であることも同様にして示せるので $Q \rightarrow P$ も真になります。

以上から $P$ は $Q$ の必要十分条件になります。

$Q3$.
自然数 $x$, $y$ に関する以下の命題の逆, 裏, 対偶をそれぞれ述べ, かつその真偽を判定しなさい。

$x$ と $y$ がともに偶数ならば, $xy$ は偶数である。

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逆: $xy$ が偶数ならば, $x$ と $y$ はともに偶数である。(偽)
裏: $x$ と $y$ の少なくとも一方が奇数ならば, $xy$ は奇数である。(偽)
対偶: $xy$ が奇数ならば, $x$ と $y$ の少なくとも一方が奇数である。(真)

$P:$ $x$ は偶数 $~~$ $Q:$ $y$ は偶数 $~~$ $R:$ $xy$ は偶数

とすると, 元の命題は

( $P$ かつ $Q$ ) $\rightarrow$ $R$

という形をしています。否定を考えるときはド・モルガンの法則を利用しましょう。

また, "偶数である" の否定は "奇数である" と言い換えることができます。

[逆]
仮定と結論を入れ換えた命題が逆になるので, 元の命題の逆は

$R$ $\rightarrow$ ( $P$ かつ $Q$ )

という形になります。

$x=2$, $y=3$ とすれば $P$ は真, $Q$ は偽になるので ( $P$ かつ $Q$ ) は偽になります。

一方 $xy=2\cdot 3=6$ より $R$ は真になります。

よって $R$ $\rightarrow$ ( $P$ かつ $Q$ ) は偽になります。

[裏]
仮定と結論をその否定で置き換えた命題が裏になるので, 元の命題の裏は

( $\overline{P}$ または $\overline{Q}$) $\rightarrow$ $\overline{R}$

という形になります。仮定の部分にド・モルガンの法則を使っていることに注意しましょう。

$x=2$, $y=3$ とすれば $\overline{P}$ は偽, $\overline{Q}$ は真になるので ( $\overline{P}$ または $\overline{Q}$ ) は真になります。

一方 $xy=2\cdot 3=6$ より $\overline{R}$ は偽になります。

よって ( $\overline{P}$ または $\overline{Q}$) $\rightarrow$ $\overline{R}$ は偽になります。

[対偶]
元の命題の逆の裏が対偶になるので, 対偶は

$\overline{R}$ $\rightarrow$ ( $\overline{P}$ または $\overline{Q}$ )

という形になります。結論の部分にド・モルガンの法則を使っています。

$xy$ が奇数の時, $x$ と $y$ はともに奇数になります。

よって $x$ と $y$ の少なくとも一方は (実際は両方とも) 奇数になるので $\overline{R}$ $\rightarrow$ ( $\overline{P}$ または $\overline{Q}$ ) は真になります。