$Q1$.
線形変換 $f:(x,y)\mapsto (5x+3y,-2x-y)$ の逆変換を求めなさい。
$Q2$.
行列 $(73−5−2)$ で表される線形変換 $f$ によって点 ${\rm A}$ が点 ${\rm B}(3,2)$ に移されるとき, ${\rm A}$ の座標を求めなさい。
$f({\rm A}) = {\rm B}$ である時, $f^{-1}({\rm B}) = {\rm A}$ となります。
$f$ の逆変換 $f^{-1}$ を表す行列は
$(73−5−2)^{-1} = (−2−357)$
であるから ${\rm A}$ の座標は
$(−2−357)(32) = (−1229)$
となります。
$Q3$.
$2$ つの線形変換 $f:(x,y) \mapsto (2x-3y,-x+y)$ と $g:(x,y) = (-3x-2y,-8x-5y)$ に対し, その合成変換 $f \circ g$ と $g\circ f$ をそれぞれ求めなさい。
$f$ を表す行列を $A$ とすると
$(2x−3y−x+y) = (2−3−11) (xy)$
より $A = (2−3−11)$ となります。
また, $g$ を表す行列を $B$ とすると
$(−3x−2y−8x−5y) = (−3−2−8−5) (xy)$
より $B = (−3−2−8−5)$ となります。
$f\circ g$ を表す行列は $AB$ であるから
$AB = (2−3−11)(−3−2−8−5) = (1811−5−3)$
より $f\circ g :(x,y) \mapsto (18x+11y, -5x-3y)$ となります。
また $g \circ f$ を表す行列は $BA$ であるから
$BA = (−3−2−8−5)(2−3−11) = (−47−1119)$
より $g \circ f :(x,y) \mapsto (-4x+7y,-11x+19y)$ となります。
※注意
このように, 一般には $f \circ g$ と $g \circ f$ は異なる変換となります。 合成変換を考えるときは $f$ と $g$ を書く順番に注意しましょう。
$Q4$.
線形変換 $f$ の逆変換が存在する時, $f$ と $f^{-1}$ の合成変換 $f^{-1}\circ f$ は恒等変換であることを証明しなさい。
$f$ を表す行列を $A$ とすると, $A$ は正則であり, $f^{-1}$ を表す行列は $A^{-1}$ である。
合成変換 $f^{-1}\circ f$ を表す行列を計算すると
$A^{-1}A= E$
$f^{-1}\circ f$ を表す行列が単位行列なので, $f^{-1}\circ f$ は恒等変換である。
$Q5$.
$2$ つの線形変換 $f$, $g$ の合成変換 $g \circ f$ の逆変換が存在する時, $f$ と $g$ にも逆変換が存在することを証明しなさい。
$f$ を表す行列を $A$, $g$ を表す行列を $B$ とすると, $g \circ f$ を表す行列は $BA$ である。
$g \circ f$ に逆変換が存在することから, $BA$ は正則であるので
$|BA| \not=0$
である。$|BA| = |B||A|$ であるから, 特に
$|A| \not=0$ かつ $|B|\not=0$
すなわち, $A$, $B$ はともに正則であるので, $f$ と $g$ には逆変換が存在する。
線形変換 $f$ を表す行列が $A$ である時, $A^{-1}$ で表される線形変換を $f$ の逆変換といいます。
線形変換 $f$ を行列を用いて表すと
$(5x+3y−2x−y) = (53−2−1)(xy)$
$(53−2−1)$ の逆行列は
$(53−2−1)^{-1} = (−1−325)$
となるので
$(−1−325)(xy) = (−x−3y2x+5y)$
よって $f$ の逆変換は $f^{-1}:(x,y) \mapsto (-x-3y,2x+5y)$ となります。