$Q1$.
全ての自然数 $n$ に対し, 次の等式が成り立つことを数学的帰納法で証明しなさい。
$[1]$ $n=1$ の時,
左辺 $\displaystyle =\sum_{k=1}^1 3^{k-1}= 3^0 =1$
であり, また
右辺 $= \dfrac{(3^1-1)}{2} = \dfrac{2}{2} = 1$
なので主張が成り立つ。
$[2]$ $n=k$ の時, 主張が成り立つと仮定すると
$\displaystyle \sum_{i=1}^k 3^{i-1} = \dfrac{3^k -1}{2}$
が成り立つ。この時
$\begin{eqnarray*} \sum_{i=1}^{k+1} 3^{i-1} & = & \sum_{i=1}^k 3^{i-1} + 3^k \\[1em] & = & \dfrac{3^k -1}{2} + 3^k \\[1em] & = & \dfrac{3^k -1 + 2\cdot 3^k}{2} \\[1em] & = & \dfrac{(1+2)\cdot 3^k -1 }{2} = \dfrac{3^{k+1} - 1}{2}\end{eqnarray*}$
よって $n=k+1$ の時も主張が成り立つ。
$[1]$, $[2]$ より全ての自然数 $n$ に対し $\displaystyle \sum_{k=1}^n 3^{k-1} =\dfrac{3^n -1}{2}$ が成り立つ。
$Q2$.
次の命題を数学的帰納法で証明しなさい。
$[1]$ $n=1$ の時, $5^1 -1 = 4$ なので主張が成り立つ。
$[2]$ $n=k$ の時主張が成り立つと仮定すると, $5^k -1$ は $4$ で割り切れるので, 自然数 $a$ を用いて
$5^k -1 = 4a$
と表せる。すると $n=k+1$ の時を考えると
$5^{k+1} -1 = 5\cdot 5^k -1$
ここで $5^k = 4a+1$ を代入すると
$\begin{eqnarray*} 5^{k+1} -1 & = & 5(4a+1) -1\\[0.5em] & = & 20a +4\\[0.5em] & = & 4(5a+1)\end{eqnarray*}$
$5^{k+1} -1$ も $4$ で割り切れるので $n=k+1$ の時も主張が成り立つ。
$[1]$, $[2]$ より全ての自然数 $n$ に対し $5^n -1$ は $4$ で割り切れる。
$Q3$.
次の漸化式で表される数列に対し, 以下の問いに答えなさい。
$a_1 = \dfrac{1}{2}~$, $~a_{n+1} = \dfrac{1}{2- a_n}$
(1)
$[1]$ $n=1$ の時, $a_1 = \dfrac{1}{2} \lt 1$ より主張が成り立つ。
$[2]$ $n=k$ の時, 主張が成り立つと仮定すると $a_k \lt 1$ である。ここで
$a_k \lt 1 \Leftrightarrow 2 -a_k \gt 1 \Leftrightarrow \dfrac{1}{2-a_k} \lt 1$
であり, $a_{k+1} = \dfrac{1}{2-a_k}$ であるから $a_{k+1} \lt 1$ が成り立つ。
$[1]$, $[2]$ より, 全ての自然数 $n$ で $a_n \lt 1$ が成り立つ。
(2)
$[1]$ $n=1$ の時, $a_1 = \dfrac{1}{2}$ より
$a_2 = \dfrac{1}{2 - a_1} = \dfrac{1}{2- \dfrac{1}{2}} = \dfrac{2}{3}$
であり, $\dfrac{1}{2} \lt \dfrac{2}{3}$ であるから $a_1 \lt a_2$ となり主張が成り立つ。
$[2]$ $n=k$ で主張が成り立つとすると $a_k \lt a_{k+1}$ が成り立つ。すると
$2-a_k \gt 2 - a_{k+1}$
ここで $a_{k+1} \lt 1$ より, $2-a_{k+1} \gt 0$ であるから
$\dfrac{1}{2 -a_k} \lt \dfrac{1}{2 - a_{k+1}}$
すなわち $a_{k+1} \lt a_{k+2}$ が成り立ち, $n=k+1$ の時も主張が成り立つ。
$[1]$, $[2]$ より, 全ての自然数 $n$ で $a_n \lt a_{n+1}$ が成り立つ。