行列式と逆行列 例題集
$Q1$.
次の行列の余因子行列を求め, 逆行列を計算しなさい。
$A = \begin{pmatrix} -2 & -4 & 0 \\ 2 & -3 & 3 \\ -5 & -5 & -2 \end{pmatrix}$
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余因子行列 $\tilde{A}= \begin{pmatrix} 21 & -8 & -12 \\ -11 & 4 & 6 \\ -25 & 10 & 14 \end{pmatrix}$
逆行列 $A^{-1} = \dfrac{1}{2}\begin{pmatrix} 21 & -8 & -12 \\ -11 & 4 & 6 \\ -25 & 10 & 14 \end{pmatrix}$
$Q2$.
行列 $A$ が正則であるための必要十分条件は $|A|\not=0$ であることを証明しなさい。
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9. 行列式の性質の例題 $Q4$ より, $A$ が正則ならば $|A|\not=0$ である。
逆に $|A| \not=0$ の時, $A$ の余因子行列を $\tilde{A}$ とすると
$A\tilde{A} =\tilde{A}A = |A|E$
が成り立つので, $\dfrac{1}{|A|}\tilde{A}$ は $A$ の逆行列である。
以上より, $A$ が正則であるための必要十分条件は $|A|\not=0$ となることである。
$Q3$.
ある行列 $X$ が正方行列 $A$ に対し $AX =E$ を満たすとする。この時 $XA=E$ であることを証明しなさい。
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$AX=E$ より
$|A||X| = |AX| = |E| = 1$
$|A||X|\not=0$ であるから $|A|\not=0$ である。
よって $A$ は正則であるから $A$ の逆行列 $A^{-1}$ が存在する。$AX=E$ より
$X = EX=(A^{-1}A)X=A^{-1}(AX) = A^{-1}E=A^{-1}$
$X=A^{-1}$ であるから $XA=E$ が成り立つ。
$A$ の $(i,j)$ 成分の小行列式を $D_{ij}$ とすると, $A$ の余因子行列 $\tilde{A}$ は
$\tilde{A} = \begin{pmatrix} D_{11} & -D_{21} & D_{31} \\ -D_{12} & D_{22} & -D_{32} \\ D_{13} & -D_{23} & D_{33} \end{pmatrix}$
となります。各小行列式を計算すると
$D_{11} = \begin{vmatrix} -3 & 3 \\ -5 & -2 \end{vmatrix} = 21,~~D_{12} = \begin{vmatrix} 2 & 3 \\ -5 & -2 \end{vmatrix} = 11,~~D_{13} = \begin{vmatrix} 2 & -3 \\ -5 & -5 \end{vmatrix} = -25$
$D_{21} = \begin{vmatrix} -4 & 0 \\ -5 & -2 \end{vmatrix} = 8,~~~D_{22} = \begin{vmatrix} -2 & 0 \\ -5 & -2 \end{vmatrix} = 4,~~~D_{23} = \begin{vmatrix} -2 & -4 \\ -5 & -5 \end{vmatrix} = -10$
$D_{31} = \begin{vmatrix} -4 & 0 \\ -3 & 3 \end{vmatrix} = -12,~~D_{32} = \begin{vmatrix} -2 & 0 \\ 2 & 3 \end{vmatrix} = -6,~~D_{33} = \begin{vmatrix} -2 & -4 \\ 2 & -3 \end{vmatrix} = 14$
よって $A$ の余因子行列 $\tilde{A}$ は
$\tilde{A} = \begin{pmatrix} D_{11} & -D_{21} & D_{31} \\ -D_{12} & D_{22} & -D_{32} \\ D_{13} & -D_{23} & D_{33} \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 21 & -8 & -12 \\ -11 & 4 & 6 \\ -25 & 10 & 14 \end{pmatrix}$
となります。また一般に
$A\tilde{A} = \tilde{A}A = |A|E$
が成り立つので, 特に $|A|\not=0$ ならば $\dfrac{1}{|A|}\tilde{A}$ は $A$ の逆行列になります。
$|A| = \begin{vmatrix} -2 & -4 & 0 \\ 2 & -3 & 3 \\ -5 & -5 & -2 \end{vmatrix} = -12 + 60 - 30 - 16 = 2$
であるから
$A^{-1} = \dfrac{1}{2}\begin{pmatrix} 21 & -8 & -12 \\ -11 & 4 & 6 \\ -25 & 10 & 14 \end{pmatrix}$
となります。