4. マクローリン展開 例題集

$Q1$.
次の関数をマクローリン展開しなさい。

$f(x) = \dfrac{1}{x+4}$
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$f(x) = \dfrac{1}{4} - \dfrac{1}{16}x + \dfrac{1}{64}x^2 + \cdots + \dfrac{(-1)^n}{4^{n+1}}x^n + \cdots~~(|x| \lt 4)$

$0$ を含む区間で何回でも微分可能である関数 $f(x)$ を

$f(x) = f(0) + f'(0)x + \dfrac{f''(0)}{2!}x^2 + \cdots + \dfrac{f^{(n)}(0)}{n!}x^n + \cdots$

とべき級数の形で表すことをマクローリン展開するといいます。

マクローリン展開は, その等式が成り立つような $x$ の範囲に注意する必要があります。

$f(x) = (x+4)^{-1}$ であるから

$f'(x) = -(x+4)^{-2}$, $~~f''(x) = 2(x+4)^{-3}$, $~~f^{(3)}(x) = -6(x+4)^{-4}$, $~~\cdots$

より

$f^{(n)}(x) = (-1)^n n!(x+4)^{-(n+1)}$

が成り立ちます。

$f^{(n)}(0) = \dfrac{(-1)^n n!}{4^{n+1}}$

であるから, $f(x)$ のマクローリン展開は

$f(x) = \dfrac{1}{4} - \dfrac{1}{16}x + \dfrac{1}{64}x^2 + \cdots + \dfrac{(-1)^n}{4^{n+1}}x^n + \cdots$

となります。

次に上の式が成り立つ $x$ の範囲を求めます。$f(x)$ と右辺の第 $n$ 部分和の差の極限を考えると

$\begin{eqnarray*} \lim_{n\to \infty} \left( f(x) - \sum_{k=1}^{n} \dfrac{(-x)^{k-1}}{4^{k}} \right) & = & \lim_{n\to \infty} \left( \dfrac{1}{x+4} - \dfrac{ \left(1 - \left( - \dfrac{x}{4}\right)^{n} \right) }{x+4 } \right)\\[1em] & = & \lim_{n\to \infty}\left( \dfrac{1}{x+4}\cdot \left( -\dfrac{x}{4}\right)^{n} \right) \end{eqnarray*}$

これは $\left| -\dfrac{x}{4}\right| \lt 1$ の時, すなわち $|x| \lt 4$ の時に $0$ に収束します。

よって $\dfrac{1}{x+4}$ のマクローリン展開は

$\dfrac{1}{x+4} = \dfrac{1}{4} - \dfrac{1}{16}x + \dfrac{1}{64}x^2 + \cdots + \dfrac{(-1)^n}{4^{n+1}}x^n + \cdots~~(|x| \lt 4)$

となります。

$Q2$.
次の関数をマクローリン展開しなさい。

$f(x) = \dfrac{1}{1- 2x}$
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$f(x) = 1+2x+4x^2+8x^3+\cdots+2^n x^n+\cdots~~\left(|x| \lt \dfrac{1}{2} \right)$

$f(x) = (1-2x)^{-1}$ であるから

$f'(x) = 2(1-2x)^{-2}$, $~~f''(x) = 2\cdot 2^2(1-2x)^{-3}$

$f^{(3)}(x) = 3!\cdot 2^3(1-2x)^{-4}$, $~~\cdots$

より

$f^{(n)}(x) = n!\cdot 2^n(1-2x)^{-(n+1)}$

が成り立ちます。

$f^{(n)}(0) = n!\cdot 2^n$

であるから

$f(x) = 1+2x+4x^2+8x^3+\cdots+2^n x^n+\cdots$

となります。

$f(x)$ と右辺の第 $n$ 部分和の差の極限を考えると

$\begin{eqnarray*} \lim_{n\to \infty} \left( f(x) - \sum_{k=1}^{n} (2x)^{k-1} \right) & = & \lim_{n\to \infty} \left( \dfrac{1}{1-2x} - \dfrac{1- (2x)^n}{1-2x} \right)\\[1em] & = & \lim_{n\to \infty} \dfrac{(2x)^n}{1-2x} \end{eqnarray*}$

これは $\left| 2x\right| \lt 1$ の時, すなわち $|x| \lt \dfrac{1}{2}$ の時に $0$ に収束します。

よって $\dfrac{1}{1-2x}$ のマクローリン展開は

$\dfrac{1}{1-2x} = 1+2x+4x^2+8x^3+\cdots+2^n x^n+\cdots~~\left(|x| \lt \dfrac{1}{2} \right)$

となります。

[補足]

これは $\dfrac{1}{1-x}$ のマクローリン展開

$\dfrac{1}{1-x} = 1+x+x^2+\cdots+ x^n+\cdots~~\left(|x| \lt 1 \right)$

の $x$ に $2x$ を代入した形になっています。

$Q3$.
次の関数をマクローリン展開しなさい。ただし, マクローリン展開が成り立つ $x$ の範囲は求めなくてよい。

$f(x) = \sin x$
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$\sin x = x - \cfrac{1}{3!} x^3 + \cfrac{1}{5!} x^5 - \cfrac{1}{7!} x^7 + \cdots + \cfrac{(-1)^n}{(2n+1)!}x^{2n+1} + \cdots$

$f(x) = \sin x$ とすると

$f'(x)=\cos x$, $~~f''(x)=-\sin x$, $~~f^{(3)}(x)=-\cos x$, $~~f^{(4)}(x) = \sin x$

であるから

$f^{(4n)}(0)= f^{(4n+2)}(0) = 0$

また

$f^{(4n+1)}(0) = \cos 0 =1$, $~~f^{(4n+3)}(0) = -\cos 0 =-1$

が成り立ちます。

$f(x) = f(0) + f'(0)x + \dfrac{f''(0)}{2}x^2+\dfrac{f^{(3)}(0)}{3!}x^2+\cdots+\dfrac{f^{(n)}(0)}{n!}x^n + \cdots$

であるから, 代入すると

$\sin x = x - \cfrac{1}{3!} x^3 + \cfrac{1}{5!} x^5 - \cfrac{1}{7!} x^7 + \cdots + \cfrac{(-1)^n}{(2n+1)!}x^{2n+1} + \cdots$

となります。

[補足]

$\sin x$ のマクローリン展開は全ての $x$ で成り立つことが知られています。

$Q4$.
次の関数をマクローリン展開しなさい。ただし, マクローリン展開が成り立つ $x$ の範囲は求めなくてよい。

$f(x) = \cos x$
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$\cos x = 1 - \cfrac{1}{2} x^2 + \cfrac{1}{4!} x^4 - \cfrac{1}{6!} x^6 + \cdots + \cfrac{(-1)^n}{(2n)!}x^{2n} + \cdots$

$f(x) = \cos x$ とすると

$f'(x)=-\sin x$, $~~f''(x)=-\cos x$, $~~f^{(3)}(x)=\sin x$, $~~f^{(4)}(x) = \cos x$

であるから

$f^{(4n+1)}(0)= f^{(4n+3)}(0) = 0$

また

$f^{(4n)}(0) = \cos 0 =1$, $~~f^{(4n+2)}(0) = -\cos 0 =-1$

が成り立ちます。よって

$\cos x = 1 - \cfrac{1}{2} x^2 + \cfrac{1}{4!} x^4 - \cfrac{1}{6!} x^6 + \cdots + \cfrac{(-1)^n}{(2n)!}x^{2n} + \cdots$

となります。

[補足]

$\cos x$ のマクローリン展開は全ての $x$ で成り立つことが知られています。

$Q5$.
次の関数をマクローリン展開しなさい。ただし, マクローリン展開が成り立つ $x$ の範囲は求めなくてよい。

$f(x) = e^x$
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$e^x = 1 + x + \cfrac{1}{2} x^2 + \cfrac{1}{3!} x^3 + \cdots + \cfrac{1}{n!}x^n + \cdots$

$f(x) = e^x$ とすると

$f^{(n)}(x)=e^x$

であるから

$f^{(n)}(0)= 1$

が成り立ちます。よって

$e^x = 1 + x + \cfrac{1}{2} x^2 + \cfrac{1}{3!} x^3 + \cdots + \cfrac{1}{n!}x^n + \cdots$

となります。

[補足]

$e^x$ のマクローリン展開は全ての $x$ で成り立つことが知られています。