恒等式 例題集

$Q1$.
次の式が $x$ についての恒等式になるように $a$, $b$, $c$ の値を定めなさい。

(1) $3x^2 - 3x + 2 = a(x+2)^2 +b(x+2) + c$
(2) $a(x+3)(x+1)+ b(x+1)(x+2) +c(x+2)(x+3) = 2$
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(1) $a=3$, $b=-15$, $c=20$
(2) $a = -2$, $b=1$, $c=1$

(1)
左辺を整理すると

$\begin{eqnarray*}a(x+2)^2+b(x+2)+c & = & a(x^2+4x+4) + b(x+2) + c\\[0.5em] & = & ax^2 + (4a+b)x + (4a+2b+c)\end{eqnarray*}$

よって

$3x^2 -3x+2 = ax^2+(4a+b)x+(4a+2b+c)$

各項の係数を比較すると

$\begin{cases} a=3\\ 4a+b=-3\\ 4a+2b+c=2 \end{cases}$

この連立 $1$ 次方程式を解くと $a=3$, $b=-15$, $c=20$ となります。

(2)
両辺から $2$ を引き, 右辺を展開すると

$a(x^2+4x+3)+b(x^2+3x+2)+c(x^2+5x+6)-2=0$

となります。整理すると

$(a+b+c)x^2 + (4a+3b+5c)x+(3a+2b+6c-2)=0$

この式が恒等式であるためには, 各項の係数が $0$ であればよいので

$\begin{cases} a+b+c=0\\ 4a+3b+5c=0\\ 3a+2b+6c=2\end{cases}$

が成り立てばよいことになります。

この連立 $1$ 次方程式を解くと $a=-2$, $b=1$, $c=1$ であることがわかります。

[別解]

$x=-2$ を代入すると

$a\cdot 1\cdot (-1) + b\cdot(-1)\cdot 0 + c\cdot 0 \cdot 1 = 2$

整理すると $a=-2$ を得ることができます。

同様に $x=-3$ を代入すると $b=1$ であり,

$x=-1$ を代入すると $c=1$ を得ることができます。

$Q2$.
次の式が $x$ についての恒等式になるように $a$, $b$, $c$ の値を定めなさい。

(1) $\dfrac{1}{(x-2)(x-3)} = \dfrac{a}{x-2} + \dfrac{b}{x-3}$
(2) $\dfrac{6}{(x+2)(x-1)(x+1)} = \dfrac{a}{x+2} + \dfrac{b}{x-1} + \dfrac{c}{x+1}$
(3) $\dfrac{2x-1}{(x+2)(x+1)^2} = \dfrac{a}{x+2} + \dfrac{b}{x+1} + \dfrac{c}{(x+1)^2}$
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(1) $a=-1$, $b=1$
(2) $a = 2$, $b = 1$, $c = -3$
(3) $a = -5$, $b = 5$, $c = -3$

(1)
右辺を通分して整理すると

$\begin{eqnarray*}\dfrac{a}{x-2} + \dfrac{b}{x-3} & = & \dfrac{a(x-3) + b(x-2)}{(x-2)(x-3)}\\[1em] & = & \dfrac{(a+b)x-(3a+2b)}{(x-2)(x-3)}\end{eqnarray*}$

よって分子を比較すれば, $(a+b)x-(3a+2b)=1$ となればよいことがわかります。

$\begin{cases} a+b=0\\ -(3a+2b) = 1\end{cases}$

であるので, これを解くと $a=-1$, $b=1$ となります。

(2)
右辺を通分して整理すると

$\begin{eqnarray*}\dfrac{a}{x+2} + \dfrac{b}{x-1} + \dfrac{c}{x+1} & = & \dfrac{a(x-1)(x+1) + b(x+2)(x+1) + c(x+2)(x-1)}{(x+2)(x-1)(x+1)}\\[1em] & = & \dfrac{(a+b+c)x^2 + (3b+c)x + (-a+2b-2c)}{(x+2)(x-1)(x+1)}\end{eqnarray*}$

両辺の分子を比較すれば

$\begin{cases} a+b+c = 0\\ 3b+c=0\\ -a+2b-2c=6\end{cases}$

であればよいことがわかります。

この連立 $1$ 次方程式を解くと $a=2$, $b=1$, $c=-3$ となります。

[別解]

両辺に $x+2$ をかけて, $x=-2$ を代入すると

$\dfrac{6}{(-3)\cdot (-1)} = a$

より, $a=2$ となります。

また, 両辺に $x-1$ をかけて, $x=1$ を代入すれば

$b = \dfrac{6}{3\cdot 2} = 1$

両辺に $x+1$ をかけて, $x=-1$ を代入すれば

$c = \dfrac{6}{1\cdot (-2)} = -3$

以上から, $a=2$, $b=1$, $c=-3$ となります。

(3)
右辺を通分して整理すると

$\begin{eqnarray*} \dfrac{a}{x+2} + \dfrac{b}{x+1} + \dfrac{c}{(x+1)^2} & = & \dfrac{a(x+1)^2 + b(x+2)(x+1) + c(x+2)}{(x+2)(x+1)^2}\\[1em] & = & \dfrac{(a+b)x^2 + (2a+3b+c)x +(a+2b+2c)}{(x+2)(x+1)^2}\end{eqnarray*}$

両辺の分子を比較すれば

$\begin{cases} a+b=0\\ 2a+3b+c=2\\ a+2b+2c=-1 \end{cases}$

これを解くと $a=-5$, $b=5$, $c = -3$ となります。