行列式の定義 例題集

$Q1$.
次の行列の行列式を計算しなさい。

$\begin{pmatrix} 5 & -2 \\ 3 & 5 \end{pmatrix}$
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$31$

$2$ 次の正方行列 $ \begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix}$ の行列式は

$\begin{vmatrix} a & b \\ c & d \end{vmatrix} = ad-bc$

と計算されます。よって

$\begin{vmatrix} 5 & -2 \\ 3 & 5 \end{vmatrix} = 5\cdot 5 - (-2)\cdot 3 = 25 +6=31$

となります。

$Q2$.
次の行列の行列式を計算しなさい。

$\begin{pmatrix} -2 & -1 & 0 \\ -4 & 5 & 4 \\ 1 & 1 & -1 \end{pmatrix}$
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$18$

$3$ 次の正方行列の行列式はサラスの方法で計算できます。

$\begin{eqnarray*} \begin{vmatrix} -2 & -1 & 0 \\ -4 & 5 & 4 \\ 1 & 1 & -1 \end{vmatrix} & = & (-2)\cdot 5 \cdot (-1) + (-1)\cdot 4 \cdot 1 + 0 \cdot (-4)\cdot 1\\ & & ~~~~ -(-2) \cdot 4 \cdot 1 - (-1) \cdot (-4)\cdot (-1) - 0 \cdot 5 \cdot 1 \\[1em] & = & 10-4+0 +8+4 - 0 = 18 \end{eqnarray*}$

となります。

$Q3$.
次の置換は偶置換か奇置換か答えなさい。

(1) $1$, $2$ を $2$, $1$ と並び替える置換
(2) $1$, $2$, $3$ を $2$, $3$, $1$ と並び替える置換
(3) $1$, $2$, $3$ を $2$, $1$, $3$ と並び替える置換
(4) $1$, $2$, $3$ をそのまま並び替えない置換
(5) $1$, $2$, $3$, $4$ を $2$, $3$, $4$, $1$ と並び替える置換
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(1) 奇置換
(2) 偶置換
(3) 奇置換
(4) 偶置換
(5) 奇置換

(1)
$1$, $2$ を $2$, $1$ と並び替える置換は互換であり, 互換は奇置換 ($1$ つの互換からなる置換) なのでこの置換は奇置換です。

(2)
$1$, $2$, $3$ を $2$, $3$, $1$ と並び替える置換は次のように $2$ つの互換の組み合わせで表すことができます。

$1$, $2$, $3$ $\longrightarrow$ $2$, $1$, $3$ $\longrightarrow$ $2$, $3$, $1$

よってこの置換は偶置換です。

(3)
$1$, $2$, $3$ を $2$, $1$, $3$ と並び替える置換は $1$ と $2$ を並び替える互換です。

互換は奇置換なので, この置換は奇置換です。

(4)
$1$, $2$, $3$ を並び替えない置換は $0$ 個の互換の組み合わせと考えられます。

よってこの置換は偶置換です。

※このようにどの数も並び替えない置換を 恒等置換 といいます。

(5)
$1$, $2$, $3$, $4$ を $2$, $3$, $4$, $1$ と並び替える置換は次のように $3$ つの互換の組み合わせで表すことができます。

$1$, $2$, $3$, $4$ $\longrightarrow$ $2$, $1$, $3$, $4$ $\longrightarrow$ $2$, $3$, $1$, $4$ $\longrightarrow$ $2$, $3$, $4$, $1$

よってこの置換は奇置換です。

$Q4$ [重要].
次の行列の行列式を計算しなさい。

$\begin{pmatrix} a_{11} & a_{12} & a_{13} \\ 0 & a_{22} & a_{23} \\ 0 & a_{32} & a_{33} \end{pmatrix}$
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$a_{11}(a_{22}a_{33} - a_{23}a_{32})$

サラスの方法を使うと

$\begin{eqnarray*}\begin{vmatrix} a_{11} & a_{12} & a_{13} \\ 0 & a_{22} & a_{23} \\ 0 & a_{32} & a_{33} \end{vmatrix} & = & a_{11}a_{22}a_{33} + 0 + 0 - a_{11}a_{23}a_{32} - 0-0\\ & = & a_{11}(a_{22}a_{33} - a_{23}a_{32}) \end{eqnarray*}$

【補足】

ここから

$\begin{vmatrix} a_{11} & a_{12} & a_{13} \\ 0 & a_{22} & a_{23} \\ 0 & a_{32} & a_{33} \end{vmatrix} = a_{11}\begin{vmatrix} a_{22} & a_{23} \\ a_{32} & a_{33} \end{vmatrix}$

が成り立つことがわかります。

また, この性質は一般の行列でも成り立ち, $n$ 次行列に対し

$\begin{vmatrix} a_{11} & a_{12} & \cdots & a_{1n} \\ 0 & a_{22} & \cdots & a_{2n} \\ \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ 0 & a_{n2} & \cdots & a_{nn} \end{vmatrix} = a_{11}\begin{vmatrix} a_{22} &\cdots& a_{2n} \\ \vdots & \ddots & \vdots \\ a_{n2}& \cdots & a_{nn} \end{vmatrix}$

という等式が成り立ちます。

行列式の計算において, この性質はよく使うので覚えておきましょう。