行列の階数 例題集
$Q1$.
次の行列の階数を求めなさい。
(1) $A_1 = (12−3114−354)$
(2) $A_2 = (111432−3−11)$
(3) $A_3 = (1−1−2−224−336)$
(1) ${\rm rank}~A_1 = 3$
(2) ${\rm rank}~A_2 = 2$
(3) ${\rm rank}~A_3 = 1$
$Q2$.
次の行列の階数が $2$ である時, $a$ の値を求めなさい。ただし $a \gt 0$ とする。
$(10−1−3a5aa−2)$
$a=4$
行列の $2$ 行目に $1$ 行目の $3$ 倍を加え, $3$ 行目から $1$ 行目の $a$ 倍を引くと
$(10−10a20aa−2)$
$3$ 行目から $2$ 行目を引くと
$(10−10a200a−4)$
$a \gt 0$ であるから, $1$ 行目と $2$ 行目は $0$ でない成分を含むことがわかります。
よってこの行列の階数が $2$ である時, $3$ 行目の成分が全て $0$ になるので
$a-4=0$
すなわち $a=4$ となります。
$Q3$.
次の行列 $A$ が正則である時, $a$, $b$, $c$ はどのような関係にあるか答えなさい。
$A = (1abc)$
$c - ab \not=0$
$n$ 次の正方行列 $A$ に対し
$A$ が正則 $\Leftrightarrow$ ${\rm rank}~A = n$
が成り立ちます。
$A$ は $2$ 次の行列なので, $A$ の階数が $2$ である条件を調べればよいことになります。
$2$ 行目から $1$ 行目の $b$ 倍を引くと
$(1a0c−ab)$
$1$ 行目は $0$ でない成分を含むことから
${\rm rank}~A = 2 \Leftrightarrow c -ab\not=0$
であることがわかります。
行基本変形を施していき「$0$ でない成分を含む行」の数を数えます。
(1)
$2$ 行目から $1$ 行目を引き, $3$ 行目に $1$ 行目の $3$ 倍を加えると
$(12−30−17011−5)$
$3$ 行目に $2$ 行目の $11$ 倍を加えると
$(12−30−170072)$
$0$ でない成分を含む行が $3$ つあるので, $A_1$ の階数は $3$ になります。
(2)
$2$ 行目から $1$ 行目の $4$ 倍を引き, $3$ 行目に $1$ 行目の $3$ 倍を加えると
$(1110−1−2024)$
$3$ 行目に $2$ 行目の $2$ 倍を加えると
$(1110−1−2000)$
$0$ でない成分を含む行が $2$ つあるので, $A_2$ の階数は $2$ になります。
(3)
$2$ 行目に $1$ 行目の $2$ 倍を加え, $3$ 行目に $1$ 行目の $3$ 倍を加えると
$(1−1−2000000)$
$0$ でない成分を含む行が $1$ つあるので, $A_3$ の階数は $1$ になります。