行列式と逆行列 例題集

$Q1$.
次の行列の余因子行列を求め, 逆行列を計算しなさい。

$A = (240233552)$
解答・解説を見る
余因子行列 $\tilde{A}= (218121146251014)$
逆行列 $A^{-1} = \dfrac{1}{2}(218121146251014)$

$A$ の $(i,j)$ 成分の小行列式を $D_{ij}$ とすると, $A$ の余因子行列 $\tilde{A}$ は

$\tilde{A} = (D11D21D31D12D22D32D13D23D33)$

となります。各小行列式を計算すると

$D_{11} = |3352| = 21,~~D_{12} = |2352| = 11,~~D_{13} = |2355| = -25$

$D_{21} = |4052| = 8,~~~D_{22} = |2052| = 4,~~~D_{23} = |2455| = -10$

$D_{31} = |4033| = -12,~~D_{32} = |2023| = -6,~~D_{33} = |2423| = 14$

よって $A$ の余因子行列 $\tilde{A}$ は

$\tilde{A} = (D11D21D31D12D22D32D13D23D33) = (218121146251014)$

となります。また一般に

$A\tilde{A} = \tilde{A}A = |A|E$

が成り立つので, 特に $|A|\not=0$ ならば $\dfrac{1}{|A|}\tilde{A}$ は $A$ の逆行列になります。

$|A| = |240233552| = -12 + 60 - 30 - 16 = 2$

であるから

$A^{-1} = \dfrac{1}{2}(218121146251014)$

となります。

$Q2$.
行列 $A$ が正則であるための必要十分条件は $|A|\not=0$ であることを証明しなさい。

解答・解説を見る

9. 行列式の性質の例題 $Q4$ より, $A$ が正則ならば $|A|\not=0$ である。

逆に $|A| \not=0$ の時, $A$ の余因子行列を $\tilde{A}$ とすると

$A\tilde{A} =\tilde{A}A = |A|E$

が成り立つので, $\dfrac{1}{|A|}\tilde{A}$ は $A$ の逆行列である。

以上より, $A$ が正則であるための必要十分条件は $|A|\not=0$ となることである。

$Q3$.
ある行列 $X$ が正方行列 $A$ に対し $AX =E$ を満たすとする。この時 $XA=E$ であることを証明しなさい。

解答・解説を見る

$AX=E$ より

$|A||X| = |AX| = |E| = 1$

$|A||X|\not=0$ であるから $|A|\not=0$ である。

よって $A$ は正則であるから $A$ の逆行列 $A^{-1}$ が存在する。$AX=E$ より

$X = EX=(A^{-1}A)X=A^{-1}(AX) = A^{-1}E=A^{-1}$

$X=A^{-1}$ であるから $XA=E$ が成り立つ。