1. 多項式による近似 例題集

$Q1$.
次の関数の $(~)$ 内の点における $1$ 次近似式と $2$ 次近似式を計算しなさい。

(1) $f(x) = \sin x~~(x=0)$
(2) $f(x) = \cos x~~(x=0)$
解答・解説を見る
(1) $1$ 次近似式 $\sin x \fallingdotseq x~~$ $2$ 次近似式 $\sin x \fallingdotseq x$
(2) $1$ 次近似式 $\cos x \fallingdotseq 1~~$ $2$ 次近似式 $\cos x \fallingdotseq 1 - \dfrac{x^2}{2}$

関数 $f(x)$ の $x=a$ における $1$ 次の近似式は

$f(x) \fallingdotseq f'(a)(x-a) + f(a)$

で計算できます。。同様に $2$ 次の近似式は

$f(x) \fallingdotseq f(a) + f'(a)(x-a) + \dfrac{f''(a)}{2}(x-a)^2$

で計算することができます。

(1)

$f'(x) = \cos x$

より $1$ 次の近似式は

$f(x) \fallingdotseq f'(0)(x-0) + f(0)= x$

また $f''(x) = -\sin x$ より $2$ 次の近似式は

$f(x) \fallingdotseq f(0) + f'(0)(x-0) + \dfrac{f''(0)}{2}(x-0)^2 = x$

となります。

(2)

$f'(x) = -\sin x$

より $1$ 次の近似式は

$f(x) \fallingdotseq f'(0)(x-0) + f(0)= 1$

また $f''(x) = -\cos x$ より $2$ 次の近似式は

$f(x) \fallingdotseq f(0) + f'(0)(x-0) + \dfrac{f''(0)}{2}(x-0)^2 =1 - \dfrac{x^2}{2}$

となります。

$Q2$.
関数 $f(x) = \sqrt{x}$ について以下の問いに答えなさい。

(1) $x=1$ における $1$ 次近似式と $2$ 次近似式を求めなさい。
(2) $x=1$ における $2$ 次近似式を用いて $x=0.81$ での $f(x)$ の近似値を計算しなさい。
解答・解説を見る
(1) $1$ 次近似式 $\sqrt{x} \fallingdotseq \dfrac{1}{2}x + \dfrac{1}{2}~~$ $2$ 次近似式 $\sqrt{x} \fallingdotseq \dfrac{3}{8} +\dfrac{3}{4}x - \dfrac{1}{8}x^2$
(2) $0.90$

(1)

$f'(x) = \dfrac{1}{2\sqrt{x}}$

より $1$ 次の近似式は

$f(x) \fallingdotseq f'(1)(x-1) + f(1)= \dfrac{1}{2}(x-1) + 1 = \dfrac{1}{2}x + \dfrac{1}{2}$

また $f''(x) = -\dfrac{1}{4\sqrt{x^3}}$ より $2$ 次の近似式は

$\begin{eqnarray*}f(x) & \fallingdotseq & f(1) + f'(1)(x-1) + \dfrac{f''(1)}{2}(x-1)^2\\[1em] & = & 1 + \dfrac{1}{2}(x-1) - \dfrac{1}{8}(x-1)^2\\[1em] & = & \dfrac{3}{8} +\dfrac{3}{4}x - \dfrac{1}{8}x^2 \end{eqnarray*}$

となります。

(2)
(1) より $x=1$ における $2$ 次の近似式は

$\sqrt{x} \fallingdotseq \dfrac{3}{8} + \dfrac{3}{4}x - \dfrac{1}{8}x^2 = \dfrac{1}{8}(3+6x-x^2)$

この式に $x= 0.81$ を代入すると

$\dfrac{1}{8}( 3+ 4.86 - 0.6561) = 0.9004775$

よって $y \fallingdotseq 0.90$ となります。

実際 $\sqrt{0.81} = 0.9$ であるから十分近い値が得られていることがわかります。

$Q3$.
関数 $f(x) = e^x$ の $x=0$ における $n$ 次近似式を求めなさい。

解答・解説を見る
$e^x \fallingdotseq 1 + x + \dfrac{x^2}{2!} + \dfrac{x^3}{3!} + \cdots + \dfrac{x^n}{n!}$

関数 $f(x)$ の $x=a$ における $n$ 次の近似式は

$f(x) \fallingdotseq f(a) + f'(a)(x-a) + \dfrac{f''(a)}{2!}(x-a)^2 + \cdots + \dfrac{f^{(n)}(a)}{n!}(x-a)^n$

で計算できます。$f(x) = e^x$ の時

$f^{(n)}(x) = e^x$

であるから

$f^{(n)}(0) = 1$

よって

$e^x \fallingdotseq 1 + x + \dfrac{x^2}{2!} + \dfrac{x^3}{3!} + \cdots + \dfrac{x^n}{n!}$

となります。

$Q4$.
関数 $f(x) = \dfrac{1}{1-x}$ について以下の問いに答えなさい。

(1) $x=0$ における $n$ 次近似式を求めなさい。
(2) $x=0$ における $4$ 次近似式を用いて $x=0.1$ での $f(x)$ の近似値を計算しなさい。
解答・解説を見る
(1) $\dfrac{1}{1-x} \fallingdotseq 1 + x + x^2 + x^3 + \cdots +x^n$
(2) $f(0.1) \fallingdotseq 1.1111$

(1)
$f(x) = (1-x)^{-1}$ であるから

$f'(x) = (1-x)^{-2}$, $~~f''(x) = 2(1-x)^{-3}$, $~~f^{(3)}(x) = 3!(1-x)^{-4} ~~\cdots$

ここから

$f^{(n)}(x) = n!(1-x)^{-(n+1)}$

となることがわかります。よって

$f^{(n)}(0) = n!$

であるから $n$ 次の近似式は

$f(x) \fallingdotseq 1 + x + x^2 + x^3 + \cdots +x^n$

となります。

(2)
$4$ 次の近似式は

$\dfrac{1}{1-x} \fallingdotseq 1 + x + x^2 + x^3 + x^4$

となるので, $x=0.1$ での近似値は

$f(0.1) \fallingdotseq 1 + 0.1 + 0.01 + 0.001 + 0.0001 = 1.1111$

となります。

実際

$f(0.1) = \dfrac{1}{1- 0.1} = \dfrac{10}{9} = 1.11111\cdots$

であるから, 近似式の次数を大きくすればするほど, 近似の精度が上がることがわかります。