$Q1$.
次の行列の行列式を計算しなさい。
$Q2$.
次の行列の行列式を計算しなさい。
$1$ 行目と $3$ 行目を入れ換えると
$\begin{vmatrix} 3 & 0 & -1 & 3 \\ -2 & 3 & -1 & 2 \\ 1 & -2 & -3 & -3 \\ -2 & 1 & -2 & -2 \end{vmatrix} = - \begin{vmatrix} 1 & -2 & -3 & -3 \\ -2 & 3 & -1 & 2 \\ 3 & 0 & -1 & 3 \\ -2 & 1 & -2 & -2 \end{vmatrix}$
$1$ 列目の成分が $0$ になるように, 各行から $1$ 行目を引くと
$\begin{eqnarray*}- \begin{vmatrix} 1 & -2 & -3 & -3 \\ -2 & 3 & -1 & 2 \\ 3 & 0 & -1 & 3 \\ -2 & 1 & -2 & -2 \end{vmatrix} & = & -\begin{vmatrix} 1 & -2 & -3 & -3 \\ 0 & -1 & -7 & -4 \\ 0 & 6 & 8 & 12 \\ 0 & -3 & -8 & -8 \end{vmatrix}\\[1em] & = & - \begin{vmatrix} -1 & -7 & -4 \\ 6 & 8 & 12 \\ -3 & -8 & -8 \end{vmatrix}\end{eqnarray*}$
$1$ 行目から $(-1)$ をくくり出すと
$- \begin{vmatrix} -1 & -7 & -4 \\ 6 & 8 & 12 \\ -3 & -8 & -8 \end{vmatrix} = \begin{vmatrix} 1 & 7 & 4 \\ 6 & 8 & 12 \\ -3 & -8 & -8 \end{vmatrix}$
再び $1$ 列目の成分が $0$ になるように, $2$ 行目と $3$ 行目から $1$ 行目を引くと
$\begin{eqnarray*}\begin{vmatrix} 1 & 7 & 4 \\ 6 & 8 & 12 \\ -3 & -8 & -8 \end{vmatrix} & = & \begin{vmatrix} 1 & 7 & 4 \\ 0 & -34 & -12 \\ 0 & 13 & 4 \end{vmatrix}\\[1em] & = & \begin{vmatrix} -34 & -12 \\ 13 & 4 \end{vmatrix}\\[1em] & = & -136 + 156 = 20\end{eqnarray*}$
$Q3$.
次の行列の行列式を計算しなさい。
$2$ 行目と $3$ 行目から $1$ 行目を引くと
$\begin{eqnarray*}\begin{vmatrix} 1 & x & x^2 \\ 1 & y & y^2 \\ 1 & z & z^2 \end{vmatrix} & = & \begin{vmatrix} 1 & x & x^2 \\ 0 & y-x & y^2-x^2 \\ 0 & z-x & z^2-x^2 \end{vmatrix}\\[1em] & = & \begin{vmatrix} y-x & y^2-x^2 \\ z-x & z^2-x^2 \end{vmatrix}\\[1em] & = & (y-x)(z-x)\begin{vmatrix} 1 & y+x \\ 1 & z+x \end{vmatrix}\\[1em] & = & (y-x)(z-x)((z+x)-(y+x))\\[1em] & = & (y-x)(z-x)(z-y) \end{eqnarray*}$
よって整理すると $\begin{vmatrix} 1 & x & x^2 \\ 1 & y & y^2 \\ 1 & z & z^2 \end{vmatrix} = (x-y)(y-z)(z-x)$ となります。
【別解】
行列式は $x$ に関する多項式になるので
$f(x) = \begin{vmatrix} 1 & x & x^2 \\ 1 & y & y^2 \\ 1 & z & z^2 \end{vmatrix}$
とすると, $f(x)$ の次数は高々 $2$ であることがわかります。
同じ列を含む行列の行列式は $0$ であるから, $x=y$ とすると
$f(y) = \begin{vmatrix} 1 & y & y^2 \\ 1 & y & y^2 \\ 1 & z & z^2 \end{vmatrix} = 0$
因数定理より, $f(x)$ は $(x-y)$ を因数に持ちます。
同様に $f(z)=0$ となるので $f(x)$ は $(x-z)$ を因数に持ちます。
$f(x)$ の ($x$ に関する) 次数は $2$ なので
$f(x) = \alpha(x-y)(x-z)$
であり, 行列式において $x^2$ を含む項は
$zx^2 - yx^2 = (z-y)x^2$
であるから, このことから $\alpha = (z-y)$ となります。
よってこの行列の行列式は
$\begin{vmatrix} 1 & x & x^2 \\ 1 & y & y^2 \\ 1 & z & z^2 \end{vmatrix} = f(x) = (y-z)(x-y)(x-z)$
となります。
$Q4$.
行列 $A$ が正則である時 $|A|\not=0$ であることを証明しなさい。
単位行列を $E$ とすると $|E|=1$ であることに注意する。
$A$ の逆行列を $A^{-1}$ とすると
$|A||A^{-1}| = |AA^{-1}| = |E| = 1$
$|A||A^{-1}|\not=0$ より, 特に $|A|\not=0$ である。
よって $A$ が正則ならば $|A|\not=0$ が成り立つ。
$Q5$.
$n$ 次の正方行列 $A$ について以下の問いに答えなさい。
(1)
5章の例題より, 行基本変形は基本行列を左からかける操作に対応する。
よって, $B$ は $A$ に行基本変形を施したものなので $B$ はある基本行列 $P$ を用いて
$B = PA$
と表せる。
$P$ が基本行列の時, $|P|\not=0$ であることに注意すると
$|B| = |PA| = |P||A|$
$|P|\not=0$ であるから, $|A|\not=0 \Leftrightarrow |B|\not=0$ が成り立つ。
(2)
${\rm rank}~A=n$ の時, $A$ に行基本変形を複数回施すことで, $A$ は次のような上三角行列 $B$ に変形できる。
$B = \begin{pmatrix}1 & b_{12} & \cdots & b_{1n-1} & b_{1n} \\ 0 & 1 & \cdots & b_{2n-1} & b_{2n} \\ \vdots & \vdots & \ddots & \vdots & \vdots \\ 0 & 0 & \cdots & 1 & b_{n-1n} \\ 0 & 0 & \cdots & 0 & 1 \end{pmatrix}$
すると $|B|=1\not=0$ であるから, (1) より $|A|\not=0$ が成り立つ。
${\rm rank}~A \lt n$ の時は, $A$ は行基本変形により $0$ だけからなる行を含む行列 $B$ に変形でき, そのような $B$ は
$|B|=0$
となるので, (1) より $|A|=0$ が成り立つ。
$1$ 行目と $2$ 行目を入れ換えると
$\begin{vmatrix} 1 & 3 & -3 & 0 \\ -1 & -2 & 0 & 0 \\ 2 & -3 & 1 & 1 \\ -1 & -2 & 2 & 1 \end{vmatrix} =(-1) \begin{vmatrix} -1 & -2 & 0 & 0 \\ 1 & 3 & -3 & 0 \\ 2 & -3 & 1 & 1 \\ -1 & -2 & 2 & 1 \end{vmatrix}$
$1$ 行目から $(-1)$ をくくり出すと
$(-1) \begin{vmatrix} -1 & -2 & 0 & 0 \\ 1 & 3 & -3 & 0 \\ 2 & -3 & 1 & 1 \\ -1 & -2 & 2 & 1 \end{vmatrix} =\begin{vmatrix} 1 & 2 & 0 & 0 \\ 1 & 3 & -3 & 0 \\ 2 & -3 & 1 & 1 \\ -1 & -2 & 2 & 1 \end{vmatrix}$
$2$ 列目から $1$ 列目の $2$ 倍を引くと
$\begin{eqnarray*} \begin{vmatrix} 1 & 2 & 0 & 0 \\ 1 & 3 & -3 & 0 \\ 2 & -3 & 1 & 1 \\ -1 & -2 & 2 & 1 \end{vmatrix} & = & \begin{vmatrix} 1 & 2-2 & 0 & 0 \\ 1 & 3-2 & -3 & 0 \\ 2 & -3-4 & 1 & 1 \\ -1 & -2-(-2) & 2 & 1 \end{vmatrix}\\[1em] & = & \begin{vmatrix} 1 & 0 & 0 & 0 \\ 1 & 1 & -3 & 0 \\ 2 & -7 & 1 & 1 \\ -1 & 0 & 2 & 1 \end{vmatrix} \end{eqnarray*}$
転置行列の行列式は変わらないので, 8章の例題 $Q4$ の性質を使うと
$\begin{vmatrix} 1 & 0 & 0 & 0 \\ 1 & 1 & -3 & 0 \\ 2 & -7 & 1 & 1 \\ -1 & 0 & 2 & 1 \end{vmatrix} = \begin{vmatrix} 1 & -3 & 0 \\ -7 & 1 & 1 \\ 0 & 2 & 1 \end{vmatrix} = 1 - 2 - 21 = -22$