6. 2変数関数 例題集

$Q1$.
次の関数が $(~)$ 内の領域を定義域とする時, その値域を求めなさい。

(1) $z = 2x + 3y~~(-1 \leqq x \leqq 1,~~0\leqq y \leqq 2)$
(2) $z = x - y~~(-2 \leqq x \lt 1,~~1\lt y \leqq 3)$
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(1) $-2 \leqq z \leqq 8$
(2) $-5 \leqq z \lt 0$

(1)
$x=-1$ の時

$z = 3y -2~~(0 \leqq y \leqq 2)$

より

$-2 \leqq z \leqq 4$

また $x=1$ の時

$z = 3y + 2~~(0 \leqq y \leqq 2)$

より

$2 \leqq z \leqq 8$

下図より, $z$ の値域は $-2 \leqq z \leqq 8$ となります。

(2)
$x = -2$ の時

$z = -y -2~~(1 \lt y \leqq 3)$

より

$-5 \leqq z \lt -3$

また $x=1$ とすると

$z = -y + 1~~(1 \lt y \leqq 3)$

より

$-2 \leqq z \lt 0$

下図より, $z$ の値域は $-5 \leqq z \lt 0$ となります。

$Q2$.
次の極限が存在するか判定しなさい。また存在する時はその極限値を求めなさい。

(1) $\displaystyle \lim_{(x,y) \to (0,0)} \dfrac{xy}{x^2+y^2}$
(2) $\displaystyle \lim_{(x,y) \to (0,0)} \dfrac{xy}{\sqrt{x^2+y^2}}$
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(1) 極限は存在しない
(2) 極限が存在し, $\displaystyle \lim_{(x,y) \to (0,0)} \dfrac{xy}{\sqrt{x^2+y^2}} =0$

$2$ 変数関数の極限を調べる時は

どのような近づき方をしても, ある一定の値に近づく

ことを示さなければいけません。

(1)

$\begin{cases} x = r\cos \theta \\ y = r\sin \theta\end{cases}~~(r\gt 0, ~0 \leqq \theta \lt 2\pi)$

とすると

$\dfrac{xy}{x^2 + y^2} = \dfrac{r^2\sin \theta \cos \theta }{r^2} = \sin \theta \cos \theta = \dfrac{1}{2}\sin 2\theta$

$(x,y)$ を $(0,0)$ に近づける時, $\dfrac{xy}{x^2 + y^2}$ の値は $\theta$ にのみ依存するので $\dfrac{xy}{x^2 + y^2}$ は一定の値に収束しません。

よって $\displaystyle \lim_{(x,y) \to (0,0)} \dfrac{xy}{x^2+y^2}$ は存在しません。

[別解]

直線 $y=x$ に沿って近づけると, $(x,y) \to (0,0)$ の時 $x\to 0$ であり, 特に $x\not=0$ であるから

$\dfrac{xy}{x^2 + y^2 } = \dfrac{x^2}{x^2 +x^2} = \dfrac{1}{2}$

よって

$\displaystyle \lim_{x\to 0} \dfrac{x^2}{x^2 + x^2} = \dfrac{1}{2}$

一方, 直線 $y=-x$ に沿って近づけると

$\dfrac{xy}{x^2+y^2} = \dfrac{x(-x)}{x^2 + (-x)^2} = \dfrac{-x^2}{x^2 +x^2} = -\dfrac{1}{2}$

より

$\displaystyle \lim_{x\to 0} \dfrac{-x^2}{x^2 + (-x)^2} = -\dfrac{1}{2}$

近づき方によって極限値が異なるので, $\displaystyle \lim_{(x,y) \to (0,0)} \dfrac{xy}{x^2+y^2}$ は存在しません。

(2)

$\begin{cases} x = r\cos \theta \\ y = r\sin \theta\end{cases}~~(r\gt 0, ~0 \leqq \theta \lt 2\pi)$

とすると $r =\sqrt{x^2 + y^2}$ より

$(x,y)\to (0,0) \Longleftrightarrow r \to 0$

が成り立ちます。また

$\dfrac{xy}{\sqrt{x^2 + y^2}} = \dfrac{r^2\cos \theta \sin \theta}{r} = r\sin \theta \cos \theta = \dfrac{r}{2} \sin 2\theta$

ここで $0 \leqq |\sin 2\theta| \leqq 1$ より $\left| \dfrac{r}{2} \sin 2\theta \right| \leqq \dfrac{r}{2}$ であるから

$0 \leqq \left| \dfrac{xy}{\sqrt{x^2 + y^2}}\right| \leqq \dfrac{r}{2}$

$(x,y)\to (0,0)$ の時, $r\to 0$ であり, この時 $\dfrac{r}{2}\to 0$ であるから, はさみうちの原理より

$\displaystyle \lim_{(x,y) \to (0,0)} \dfrac{xy}{\sqrt{x^2+y^2}} =0$

となります。

[別解]

$y$ 軸に沿って点 $(x,y)$ を $(0,0)$ に近づけると, $x=0$ より

$\displaystyle \lim_{y \to 0} \cfrac{0 \cdot y}{\sqrt{0^2+y^2}} =0$

また, $y=mx$ に沿って $(x,y)$ を $(0,0)$ に近づけると, $\left| \dfrac{m}{\sqrt{1+m^2}} \right| \leqq 1$ より

$\displaystyle 0 \leqq \lim_{x \to 0} \left| \dfrac{mx^2}{\sqrt{x^2+m^2x^2}} \right| = \lim_{x \to 0} \left| \cfrac{m|x|}{\sqrt{1+m^2}} \right| \leqq \lim_{x\to 0}|x| = 0$

$m$ の値に依らず $0$ に収束するので $\displaystyle \lim_{(x,y) \to (0,0)} \dfrac{xy}{\sqrt{x^2+y^2}} =0$ となります。